【塩屋的住環境のつくりかた】#2 塩屋で空き家を買いました
2025.11.11

記:小山直基(塩屋的住環境の家、小山の家)
部屋探し 不動産より 立ち話
これは「しおやカルタ」の「へ」の読み札です。しおやカルタは、塩屋の日常や名所、すり鉢状の地形や暮らし、個性あふれるお店や人など、まちを彩るさまざまな風物を題材にした「あいうえおカルタ」です。シオヤプロジェクトが塩屋在住の絵本作家・おおたけなおこさんとともに、住人たちもネタを持ち寄りながら、3年かけて制作した作品です。
実際、私がいま自宅として住んでいる空き家と出会ったのも「立ち話」がきっかけでした。しおやカルタをつくるための住人とのワークショップの最中に、口コミで物件情報を耳にし、イベント終了後すぐに内覧へ。文字通り一目惚れして、その場で購入申込書(※)を記入、翌日には妻も内覧し購入の意思を固めました。
じつは、妻の出産前までは、旧グ邸裏の長屋で夫婦で暮らしていました。さすがにほかの住人に迷惑をかけるので、塩屋に戻る前提で、当時一時的に須磨の実家の近くに引っ越していました(とはいえ、引っ越したのは出産前日ですが)。人との出会いと同様に、家も出会いを焦らないことが大事だと思い、子どもが小学校に入学するまでの6年間を目安に、ゆっくりと塩屋で家を探すことに決めたのです。この空き家と出会ったのは須磨での生活3年目のことでした。
「ナナメデフォルト」なんて言われるくらい、塩屋の古家はほとんど傾いています。長い年月や阪神淡路大震災も経て、逆に傾いていない古家の方がこのまちでは珍しいくらいです。例に漏れず、この空き家もかなり傾いていました。
古家や空き家を内覧する際は、信頼できる工務店や建築家など、専門家と一緒に見ることをおすすめします。素人や不動産屋には見えない建物の状態やリスクをチェックしてもらえます。私は初回内覧の翌日に、妻だけでなく工務店も連れて再訪しました。
実はこの物件、(よくあることですが)インターネットにまだ載っていない口コミ物件だったにもかかわらず、私が購入申込書を書いた時点で、その前に4組の購入希望者がいました。ところが、建物の傾きや修繕コスト、何より安全面の不安から2組は購入を断念しました。私は工務店の意見を参考に「修繕可能」と判断しました。

最終的な決め手は、売主が現金決済を望んでいたことでした。ローンを考えていた私にとって、1000万円の現金など到底用意できません。もしほかの2組のどちらかが現金を用意できればその時点でゲームオーバーです。
音楽イベント「港町ポリフォニー」出演直前にその情報を聞き、妻と即座に相談。阿吽の呼吸で両親に500万円ずつお願いすることにし、即電話、有難いことに承諾を得ました。すぐに不動産屋に連絡。勢いそのままにステージに上がりました。
自慢できる話ではありません。全く参考にならない人もいるでしょう。他力本願です。とはいえ、あそこで諦めていたら、きっと今も後悔していたと思います(実際に1組は現金決済可能でした)。このときほど現金の強さを痛感したことはありません。初回内覧から◯ヶ月。夢にまで出てくるほど、どうやってでも手に入れたかった家をついに手に入れました。
塩屋で売家を探している人には、もし可能なら最初は賃貸物件で暮らしてみることをおすすめします。塩屋に住んでみれば、このまちと自分の求めている暮らし方とのフィット感もしくは「フィットしないこと」も含めてわかりますし、知り合いもできるかもしれません。いつでもすぐに動ける状況をつくっておくことはそれだけでとても有利です。なにせ「立ち話」から思いがけない物件情報に出会うことが日常茶飯ですので。
※購入申込書は法的拘束力はありませんが、売主に「この人は本気で買いたい」という意思を伝える手段です。無料なので、気に入った物件があれば、とりあえず書いてみるのがおすすめです。