【塩屋的住環境のつくりかた】#9 物件のみつけかた③ まちを歩いて、物件を見つける
2026.2.15

記:小山直基(塩屋的住環境の家、小山の家)
前の章で紹介した方法は、市場に出ている物件を探す、いわば受動的な探し方です。それでも十分に見つかることはありますが、条件によっては、なかなか出会えない場合もあります。そうしたときの選択肢として、自分でまちを歩き、物件を見つけていく方法があります。
私はこれを、能動的な物件探しと呼んでいます。
やることは、とても単純です。まちを歩く。それだけです。
実際に住みたいと思っているまち、あるいは気になっているまちを歩きながら、気になる建物を探します。その際、次の4つの点に目を向けてみます。
①人の気配がないこと、②郵便受けがいっぱいになっていること、③庭や外まわりが手入れされていないこと、④電気やガスのメーターに結束バンドがされていること。
こうした特徴がある建物は、空き家である可能性があります。ただし、外から分かるのは、あくまで「可能性」にすぎません。
気になる建物があれば、その周辺を何度か散歩してみます。
時間帯や曜日を変えて歩いていると、人の出入りがないことが確認できたり、近所の人に声をかけられて空き家だと判ったりすることもあります。そういう意味では、住みたいまちに通い続けることや、まずは賃貸で住んでみることが、物件探しにおいて非常に有利に働く場合も少なくありません。
気になる建物がはっきりしてきたら、次は調査です。
その建物が誰の所有なのかは、法務局で調べることができます。地番を調べ、登記簿を確認すると、所有者の名前や住所が分かります。ここまでくると、漠然とした「気になる建物」は、具体的な「物件」として立ち上がってきます。少し手間はかかりますが、特別な資格がなくても、誰でもできる作業です。
所有者が分かったら、手紙などで連絡を取ります。
このときに大切なのは、いきなり「買いたい」「貸してほしい」と結論を急がないことです。まずは、その建物やまちに関心があること、どのように使いたいと考えているのか、すぐに契約を決めたいわけではないということ。その前提を、簡潔に伝える程度で十分です。条件の話に入る前に、まず話を聞いてもらうところから始めたほうが、結果的に関係がつながりやすくなります。この探し方は、すぐに結果が出るとは限りません。返事が来ないこともありますし、「今は考えていない」と断られることもあります。それでも、一度つながりができると、数か月後、あるいは数年後に、あらためて声がかかることもあります。能動的な物件探しは、短距離走というより、少し長い時間軸で考える「長距離走」的方法です。
ただ、この方法は、誰にでも向いているわけではありません。急いで住まいを決めたい人や、条件がかなり明確で妥協が難しい人には、前の章で紹介した方法のほうが合っているでしょう。一方で、場所や建物との関係性を大切にしたい人、多少時間がかかっても構わない人、既存の枠に収まらない物件を探したい人にとっては、有効な選択肢になります。
まちを歩き、建物を見て、調べて、連絡を取る。とても地味な方法ですが、その分、他の人と競合しにくい探し方でもあります。前の章で書いたように、相場を知り、予算を決めておくことは、ここでも重要です。そのうえで能動的に動くことで、「市場には出ていない物件」と出会う可能性が生まれます。実際に、私の友人の中にも、法務局で調べるところから始め、このような方法で塩屋のとても良い家と出会った人が何組かいます。