海と山のすきまの塩屋的住環境特集

【塩屋的住環境のつくりかた】#4 初めての借入!お金の話、もろもろ。

2025.12.6


記:小山直基(塩屋的住環境の家、小山の家)

改修費は1,000万円。

床をすべてめくって土間を打ち直し、新たに束を建てて水平の床をつくりました。屋根も瓦を下ろして軽量化し、電気・ガス・水道も一新しました。予算的にお風呂の改修は諦めて既存のままですが、ほぼフルリノベーションです。ただ、この1,000万円は、コロナ以降のウッドショックや建材高騰もあり、今となってはあまり参考にならない金額かもしれません。最近ホームセンターでラワンベニアの値段を見て、思わず目が飛び出そうになりました。今回の宿泊施設の改修もそうですが、最近の建材価格を見ては現実を痛感します。


実は、この改修費の1,000万円を工面するのも大変でした。
元々は家の購入と改修費をまとめて住宅ローンで借りるつもりでした。クレジットカードや携帯料金、ローンの支払いで延滞も滞納も一度もなく、審査も問題なく通るだろうと、どこかで楽観していました。

しかし現実はまったく違いました。

審査の結果は「減額すれば貸せる」どころか、「申し訳ございません、まったく貸せません」というものでした。当時の私は、10年勤めた大企業を辞め、現職のグ邸に関わりはじめて2年目。勤続年数や勤務先の信用力はローン審査で大きな評価ポイントになりますが、退職して間もない時期では「職業の安定性」や「収入の継続性」という面で評価されず、つまり「信用がない」状態でした。

ローン審査では一般的に「勤続3年以上、確定申告2〜3年分が安定していること」が目安といわれますが、私はそのどちらにも届いていませんでした。さらに、購入しようとしていたのは古家。日本では築年数で建物の価値が決まるため、古い建物はほとんど資産価値がないとみなされます。銀行からすると「担保にならないリスク物件」でした。

まわりの個人事業主の友人たちも、家を買うときに同じような苦労をしています。社会の中で「信用」を築くことの重さを、身をもって感じた出来事でした。家の購入後、工務店の紹介で地銀に相談し、もともと接道していなかったこの家の裏に道ができたことで偶然にも「接道ありの家」になり、そのおかげで土地の評価が上がり、不動産担保として融資が通りました。

つまり、状況を変えたのは私ではなく、まわりの助けと偶然でした。両親の支援がなければ家は買えず、接道による物件の評価の上昇がなければリノベもできませんでした。そう思うと、ほんとうに他力本願です。

もし前職に勤めたままだったら、高い確率で審査は楽々通っていたでしょう。
レイモンド・マンゴーの『就職しないで生きるには』を読んだことはありませんが、子どもが大きくなったら、「せめて就職したなら、銀行から大金を借りてからやめろ」と教えたいと思っています。