海と山のすきまの塩屋的住環境特集

【塩屋的住環境のつくりかた】#3 おもしろい地域には、おもしろい工務店や大工さんがいる

2025.11.27

記:小山直基(塩屋的住環境の家、小山の家)

自宅の話を続けます。

家には玄関が二つあります。

もともとは自動車の通れる4メートル幅の道路に接道していない家で、表に玄関、裏に勝手口がありました。ところが裏側の大きな敷地が20軒もの宅地として造成・分譲された結果、裏に広い道が伸び、「接道する家」になりました。それもあって、かつての勝手口がメイン玄関、元の玄関がサブ玄関になりました。
サブ玄関側に住む近所の息子の友人(長男の同級生)は、毎朝サブ玄関から息子を迎えに来て、ふたりでメイン玄関から登校していきます。そんな何気ない日常の風景も気に入っています。

洗面台も二つあります。

私は「大きな一枚の洗面台」に憧れていましたが、施工の進捗を確認しに行くと中くらいの洗面器が二つ並んでいました。この洗面器は、工務店の倉庫に眠っていたものです。コーラーというアメリカのメーカーのデットストックの洗面器をなぜか眠らせて持っているというのが凄い。最初は驚きましたが、使ってみるとこれがまた便利で、いまでは気に入っています。

キッチンも、予算の都合で工夫が必要でした。

工務店の倉庫に眠っていた既製品の天板を材料費ゼロで譲ってもらいました。ただ、一人暮らし用のサイズだったため、シンクとコンロの間の作業スペースが狭くなりそうでした。そのままでは調理しにくいだろうと天板をカットして間に石のタイルを挟み、全長4メートルのキッチン台に仕立ててくれました。妻もとても喜びました。

床材は、いわゆるフローリング材ではありません。

4mmのベニアを構造用合板の上に貼り、フローリングのような幅にカットして丁寧に溝を入れる手のかかる方法でした。元宮大工の職人さんが仕上げてくれたおかげで、ローコストながら美しい仕上がりになりました。
こうして状況に合わせて柔軟に工夫し、アイデアを形にしてくれる工務店とのやりとりには話が尽きません。『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる』という本がありますが、私は「おもしろい地域には、おもしろい工務店や大工さんがいる」ことが大事だと思っています。