海と山のすきまの塩屋的住環境特集

【塩屋的住環境のつくりかた|お店編】みき

2026.8.31

photo : yuto yamashita

JR塩屋駅を降りて旧グッゲンハイム邸の方へ歩いていく途中、高架下で目に入る[みき]という看板。扉を開けると、大きな鉄板でお好み焼きを焼き上げるじゅーっという音と共に、店主・みきさんをはじめとした元気な3姉妹が出迎えてくれていたる人気店だ。もともと三宮でお店を営んでいたみきさんが、阪神・淡路大震災後に常連さんから「塩屋でお店をやってみない?」と声をかけられ、この町へ。どんなお店にしよう?と考えている最中、2番目のお姉さんが「お好み焼きやったら、できると思う」と手を挙げ、約30年前の真夏に3姉妹で営む[みき]が誕生した。お好み焼きはお姉さんの経験に加え、お気に入りの店の店主から指導を受けて、技術を磨いた一枚だ。昼には、その日の「サービス定食」と「お好み定食」「焼きそば定食」「うどん焼き定食」と、お腹も心も満たされるメニューが親しまれてきた。中休みを作らず一日中鉄板に向かう姿は頼もしく、その姿を眺めながらお酒を嗜む常連さんも多い。

けれど、「塩屋のお客さんは本当に、毎日のように寄ってくれる人ばかり。でもそろそろ体力的にも大変だから……」と話すみきさんは、2025年に店をたたむことに決めた。

塩屋住民の拠り所が消えてしまうというこの危機に、名乗りを上げたのが、足繁く[みき]へ通っていた常連の中原さん。「僕はここに20年ぐらい通っているから、ここがなくなると困るのよ。仕事が終わって家に帰るまで、毎日ここの店で1杯飲んで、次はどこに行こうかなって、やっていたの。仕事後の楽しいひとときを過ごす場所やった。僕だけでなく、そうやって日常の一部になっている塩屋の人は多いと思う。だからなくしたくなくて」と話す。

みきさんが手がけるお好み焼きの味を受け継ごうと、さっそく新しいスタッフたちの修行が始まり、無事に新体制での営業が始まった。「変わらない味を守りつつ、新しいメニューも少しずつ増やす。昔中華屋で働いていたことがあって、まずは鉄板エビチリや鉄板麻婆豆腐をやろうと思ってるよ。」と新オーナーとなった中原さん。新生[みき]の扉を、あなたもぜひ叩いてみてほしい。