【塩屋的住環境のつくりかた|お店編】しろちゃん
2026.8.31
photo : yuto yamashita
塩屋を初めて訪れた人が、住民から必ず聞かれることがある。それは「しろちゃん、もう行った?」ということ。駅前にある[食堂しろちゃん]は、塩屋住民が誇る憩いの食堂なのだ。
「食堂・お好み焼き」と看板に大きく書かれた[食堂しろちゃん]は1980年に開店し、45年以上続く今も常にお客さんで賑わっている。それは、うどんやラーメン、お好み焼きなど多くのメニューがワンコイン以下で食べられるからだけではない。塩屋住民一人ひとりの好みに応え続けるメニューの幅広さ、つまりは懐の深さにあるだろう。
[食堂しろちゃん]は、店主の松岡たいしさんが父親とお好み焼き屋として開店し、お客さんの声に応えているうちに、その後自然と、食堂へと移行していった。店内の陳列ケースには魚の煮付けや粕汁、おでんなど、春夏秋冬それぞれの季節を感じる小皿が並び、壁にはメニューの札がずらり。お昼ご飯や夜ご飯を楽しむ人、自宅にいるかのようにゆっくりとおかずをつまんで、瓶ビールを楽しむ人……気ままに過ごす塩屋住民の姿が、この食堂では見られる。
「僕は唐揚げが好き。衣がバリっと硬めに揚がっていて美味しくて、お腹がいっぱいの時でも食べちゃう(笑)」という声や「私は、オムレツ。オムレツって、ソースやケチャップで食べることが多いと思うけど、私は塩だれで食べたいなあって言ってみたの。そしたら、塩だれを作ってくれて」という声も。そう、お客さんからの「これ食べたいな」を叶えてくれるのが、ここ[食堂しろちゃん]なのだ。
メニューづくりの思いを、たいしさんに尋ねてみると、こんな言葉が返ってきた。「ただ、お客さんの気持ちに応えたいなって。その場でいろいろ考えて、できそうやったらやってみる。たとえば『野菜ラーメン』は、野菜をたっぷり食べたいという声から生まれたメニュー。みんな思いつきで『これ食べたいねんけど』というから難しいこともあるけど、なるべく応えたい。そうやってできたメニューがたくさんあって、数えたことがない(笑)」。たいしさんの心意気には、それぞれの好みやお腹の空き具合を考えて料理する、家族に向ける眼差しと同じような思いを感じる。
塩屋に初めて来た人もそうでない人も、等しく迎え入れてくれる[食堂しろちゃん]は、まさに塩屋の玄関口。「しろちゃん、もう行った?」という期待を含んだ住民からの質問に、ぜひあなたの体験を語ってほしい。